【性・年代別】開眼片足立ちの平均値とは?測定の方法と意味を解説 

体力テストで実施される開眼片足立ちですが、そもそもどんな意味があるのかご存じでしょうか? 
 
実は、開眼片足立ちで測定できるのはバランス能力だけではなく、その他の健康指標との関連性もあるのです。 
 
この記事では開眼片足立ちの意味や測定方法、性・年代別の平均値、測定によって何がわかるのか?について詳しく解説します。 

目次

開眼片足立ちとは? 

開眼片足立ちとは、目を開けたまま片足立ちで、姿勢を何秒間保てるかを測定するテストです。 
 
片足立ちはバランス機能や下半身の筋力を測定できると考えられています。転倒をせずに立ったままズボンをはいたり、靴下を着脱したり、日常動作を安定して行うためにバランス能力が必要になるため、とくに高齢者でよく実施されるテストです。 

測定方法 

気軽にできる開眼片足立ちですが、正確に測定するためには、文部科学省の新体力テストの実施要項に基づいて実施するとよいでしょう。 
 
新体力テスト実施要項の要点をわかりやすくまとめました。 

手順 

  1. 実施者は素足になります。
  2. 実施する側の足を決めます。
  3. 実施者は両手を腰に当てて、片足を挙げて行いやすい方の足を選びます。
  4. 姿勢は、腰に手を当て、目を開けたまま片足を床から5cm程度あげます。
  5. 実施者に対して「片足を挙げて」の合図を出したら片足立ちの姿勢をとります。片足が浮いて安定したらストップウォッチをスタートさせます。
  6. 片足立ちが持続できた時間を測定し、休憩を入れて2回実施します(最長120秒。120秒に到達した場合は2回目は実施しない)。

テスト終了条件

  1. 実施中に両手、または片手が腰から離れた場合
  2. あげた足が支持脚に触れたり、床に触れた場合
  3. 支持脚の位置がずれた場合

実施上の注意 

  • 滑らない床で実施する。 
  • 被測定者の周りには、物を置かない。段差や傾斜がある場所も避ける 
  • 測定者は被測定者がバランスを崩したとき、即座に支えられるようにしておく。 

結果の解釈 

開眼片足立ちの結果は、平衡感覚や体幹・下半身の筋力など総合的なバランス能力の評価として利用され、運動機能不安定症の評価基準の1つとなります。 
性・年代別の平均値の紹介と、どのように評価すればよいのかについて解説しました。 

65歳以上男性の平均値・標準偏差 

年代(歳) 65-69 70-74 75-79 
平均値(秒) 78.15 71.55 57.69 
標準偏差(秒) 41.97 43.65 41.72 
サンプル数(人) 790 905 707 

65歳以上女性の平均値・標準偏差 

年代(歳) 65-69 70-74 75-79 
平均値(秒) 84.16 70.96 55.95 
標準偏差(秒) 40.92 42.74 42.02 
サンプル数(人) 931 940 893 

運動機能不安定症の評価基準の1つ 

開眼片足立ちはの運動機能不安定症の診断基準の1つに利用されています。 
 
運動機能不安定症とは、「高齢化にともなって運動機能低下をきたす運動器疾患により、バランス能力 および移動歩行能力の低下が生じ、閉じこもり、転倒リスクが高まった状態」と定義しています。
つまり、運動機能の低下はあるが、ほぼ介助なしで生活できるか、屋外での介助のみ必要な人を指します。 
バランス能力は平衡感覚だけでは成り立たちません。たとえば、体を片足で支えるためには、下半身や体幹の筋力や姿勢保持をする感覚なども必要ですから、開眼片足立ちが低いと、平衡感覚や筋力などの総合的なバランス能力が低下している考えられます。 
 
15秒未満になると運動機能不安定症の診断の1つを満たしてしまうことになります。  

開眼片足立ちに関する知見 

開眼片足立ちを行うと、実際に何がわかるのでしょうか?ここでは、開眼片足立ちの実施で把握できる3つのことについて紹介します。

開眼片足立ちの結果と転倒する可能性は関連する 

開眼片足立ちの測定結果と、転倒する可能性は関連していると考えられます。 
 
片足立ちのまま長時間姿勢を保つためには、総合的なバランス能力が要求されるため、成績が良ければ、安定して日常生活動作を行えると考えられます。ですから、転倒する可能性が低くなるといえるでしょう。 
 
実際に、複数の調査で開眼片足立ちの評価がよいと、転倒経験が少ないと報告がされています。 
 
【参考文献】 山田ら:通所サービス利用高齢者の転倒とバランス能力について  / 村田ら:地域在住高齢者の開眼片足立ち保持時間と身体機能との関連 

簡易な認知症のテストにも使われる 

片足立ちテストは認知症の簡易なテストとしても使われます。 
 
バランス能力は脳機能も関係しており、脳の認知機能が衰えることで、バランス能力も衰え、片足立ちを長時間持続する能力が低下するのです。 
 
【参考文献】 愛媛大学大学院医学系研究科抗加齢医学(新田ゼラチン)講座  / 村田ら:地域在住高齢者の転倒と身体・認知・心理機能に関する前向き研究

筋力トレーニングの効果測定に利用できる 

開眼片足立ちテストは下肢の筋力トレーニングの効果測定に利用できます。 
 
そもそも、片足でバランスをとるためには、自分の体を支えるために下半身の筋力が必要になります。そのため、開眼片足立ちの成績が悪い方は、下半身の筋力トレーニングで改善するケースは多いのです。 
 
実際に、下半身の筋力と開眼片足立ちの結果は関連すると報告されています。 
 
少し低体力者向けになる部分はありますが、筋力トレーニングを行った結果がバランス能力にきちんと反映されているかを判断するために開眼片足立ちを行うのは効果的と言えるのです。 

 【参考文献】 村田ら:地域在住高齢者の転倒と身体・認知・心理機能に関する前向き研究 

まとめ 

開眼片足立ちは総合的なバランス能力の評価を行い、測定結果は運動機能不安定症の診断基準の1つとして利用されます。バランス能力は単に平衡感覚だけではなく、多くな要素から成り立つため、他の測定項目と合わせて足りない体力要素を明らかにし、適切にトレーニングを行いましょう。 

【参考文献】 
e-ヘルスネット:片足立ちテスト 
文部科学省:新体力テスト実施要項(65〜79歳対象)
文部科学省:令和四年度体力・運動能力調査結果 
日本整形外科学会:「運動器不安定症」 

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この記事を書いた人

位高 駿夫のアバター 位高 駿夫 株ハイクラス・CEO

”健康”と”勝利”に役立つスポーツ健康科学情報を配信します【経歴】株ハイクラスCEO/博士(スポーツ健康科学)/健康運動指導士/第一種衛生管理者/ホームヘルパー2級

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