上体起こしは多くの人が実施したくはない体力測定の1つかもしれません。一般的にいう腹筋運動のことですが、この「上体起こし」にはどんな意義・意味があるか考えてみたことはありますか?
本記事では、上体起こしについての解説を行い、今後の皆さまの体力づくりに生かしていけるような情報をお届けできたらと思います。
上体起こしとは?
測定の意義・意味
上体起こしは、腹筋にどの程度強度を持つかを測ることにより、筋力や筋持久力がわかります。
上体起こしに関わる筋肉
上体起こしをするときには、もちろんながら腹筋が使われています。また、骨盤と下半身を繋いでいる腸腰筋も、上体起こしに関わる筋肉のひとつです。歩く・走るといった、足や膝を上げる際に大きな役割をもつ筋肉になります。
測定方法
文部科学省の「新体力テスト」の実施要項に基づいて実施するのが一般的です。
手順
- マット上で、両膝の角度は 90゜にして仰向けに寝て、両手を軽く握って両腕を体の前で組みます。
- 補助者は、測定を受ける人の両膝をおさえて固定します。
- スタートの合図で、仰向けから両肘と両太ももがつくまで上体を起こします。
- すばやく開始時の仰向け姿勢に戻します。 30秒間、前述の上体起こしを可能な限り多く繰り返し、回数を測定します。
結果の解釈
スポーツ庁が公表している「体力・運動能力調査結果」を参考に、性別や年代ごとの調査結果をまとめていきます。ご自身の年齢と照らし合わせて、平均や標準に対してどのあたりに位置するのか、確認してみましょう。
成人男性の平均値・標準偏差
20-24歳 | 30-34歳 | 40-44歳 | 50-54歳 | 60-64歳 | 70-74歳 | |
平均値 | 28.63 | 26.65 | 23.44 | 21.76 | 19.01 | 14.62 |
標準偏差 | 5.84 | 5.67 | 5.31 | 5.61 | 5.85 | 5.95 |
サンプル数 | 869 | 935 | 1089 | 932 | 711 | 816 |
成人女性の平均値・標準偏差
20-24歳 | 30-34歳 | 40-44歳 | 50-54歳 | 60-64歳 | 70-74歳 | |
平均値 | 21.19 | 18.11 | 15.90 | 14.63 | 13.11 | 10.79 |
標準偏差 | 5.73 | 5.40 | 5.45 | 5.32 | 5.46 | 5.00 |
サンプル数 | 726 | 721 | 1022 | 877 | 846 | 791 |
未成年の平均値
6歳 | 9歳 | 12歳 | 15歳 | 18歳 | |
男子(回) | 11.82 | 17.96 | 23.68 | 27.63 | 28.69 |
女子(回) | 11.77 | 17.27 | 19.93 | 21.84 | 23.05 |
【参考文献】令和4年度 体力運動能力調査(スポーツ庁)
上体起こしに関する知見
腹筋はだれでも割れている
上体起こしの回数に関わらず、腹筋はだれでも割れています。しかし、その上に脂肪が乗っているため、見えなくなっています。当然しっかりと腹筋があることで、見た目としてもきれいに、かっこよくなることでしょう。筋肉があるところには脂肪がつきにくいことは明らかとなっており、お腹周りの筋肉をつけておくことで肥満の予防に繋がることでしょう。
腰痛対策
腹筋をしっかりと実施することで、腹圧の上昇に繋がり、姿勢や腰痛の改善に繋がります。また、便秘解消にも繋がるかもしれません。
上体起こし以外の動作でも腹筋は鍛えられる
腰痛の方の上体起こしの動作は、難しい部分があるかもしれません。無理して実施することで体を壊してしまいます。そのような方も、腰への負担が少ない姿勢で、腹筋を鍛えておく必要があります。
その種目が、「クランチ」や「プランク」などのいわゆる体幹トレーニングです。腰が痛いからと言って、トレーニングを怠ると、より悪化してしまいますので、現状に合わせたトレーニングを実施していきましょう。
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